ダウンジャケットとは、水鳥(ガチョウ、アヒル)の胸の綿毛「ダウン」を中綿に詰めた防寒着です。ダウンは1gあたりに空気をためる量が繊維の中で一番多く、同じ暖かさなら化繊の中綿より軽く、小さくたためます。暖かさは「フィルパワー」(ダウン1オンスがふくらむ体積)と「ダウンの量」で決まり、水に濡れると空気をためられなくなるので、雨の日は防水の上着を重ねるか、撥水加工のダウンを選びます。洗濯できる物が多く、正しく洗えば10年使えます。
ダウンメーカーの説明、羽毛の規格(フィルパワーとダウン率)、洗濯表示の決まり、自分で15年使った3着の記録を合わせて、断定できることだけ書きます。
ダウンとは、水鳥の胸の綿毛。羽根(フェザー)とは別の物
ダウンは、水鳥の胸から腹にかけて生える、芯のないたんぽぽの綿毛の形をした羽毛です。1つ1つが空気を抱えて広がり、その空気の層が体温を逃がしません。フェザー(羽根)は芯のある翼の羽で、空気をためる力は弱く、ダウンの形を支える役目で少量混ぜられます。表示の「ダウン90%・フェザー10%」は、この2つの比率で、ダウンの比率が高いほど軽くて暖かく、80%以上が防寒着の目安です。ガチョウ(グース)のダウンはアヒル(ダック)より1つ1つが大きく、同じ量で暖かく、価格も高くなります。
暖かさを決める2つの数字。フィルパワーとダウンの量
| フィルパワー | 品質の目安 | 向く用途 |
|---|---|---|
| 550〜650 | 標準 | 街着、通勤。量で暖かさを出す |
| 700〜800 | 上位 | 軽くて暖かい。旅行、登山、インナーダウン |
| 850〜1000 | 最高級 | 冬山、極地。同じ暖かさで最も軽い |
フィルパワーは、ダウン1オンス(約28g)がふくらむ体積(立方インチ)で、数字が大きいほど少ない量で空気をためられ、軽くて暖かくなります。ただし暖かさは「フィルパワー×ダウンの量」で決まるので、フィルパワー650でも200g入っていれば、800で100gの物より暖かいことがあります。街着の防寒なら、フィルパワー650以上でダウン量150g以上、軽さを取るならフィルパワー800以上でダウン量80〜120gが目安です。表示にダウン量が無い物は、着たときの厚みで判断します。
化繊の中綿との違い。軽さと濡れへの強さが逆
| 項目 | ダウン | 化繊の中綿(プリマロフトなど) |
|---|---|---|
| 同じ暖かさでの重さ | 軽い | 1.5〜2倍重い |
| たたんだ大きさ | 小さい。500mLのペットボトルほどになる物もある | ダウンの1.5倍前後 |
| 濡れたとき | 空気をためられず暖かさが落ちる。乾きも遅い | 濡れても暖かさが残る。乾きが速い |
| 洗濯 | 手間がかかる(ダウン用洗剤、乾燥機で叩く) | ふつうに洗える |
| 寿命 | 10年以上。ダウンは劣化しにくい | 3〜5年でへたる |
| 価格 | 1〜10万円 | 5,000〜3万円 |
ダウンは軽さと小ささと寿命で勝ち、化繊は濡れへの強さと手入れの楽さと価格で勝ちます。雨や汗で濡れる場面(雨の日の通勤、汗をかく運動、釣り)は化繊、乾いた寒さの場面(冬の街、旅行、山の停滞)はダウンが向きます。最近は、ダウンに撥水加工をした物や、ダウンと化繊を混ぜた物もあり、濡れへの弱さは小さくなっています。
種類は3つ。厚手のアウター、薄手のインナー、中間のライト
- アウターダウン(厚手):ダウン量150〜300g。冬の一番外に着る。街着、通勤、雪国。1.5〜5万円
- ライトダウン(中間):ダウン量80〜150g。秋と春の外着、冬の中間着。たためて旅行に。1〜3万円
- インナーダウン(薄手):ダウン量40〜80g。コートやシェルの下に着る。500mLのペットボトルほどにたためる。8,000〜2万円
- ダウンベスト:袖が無い。腕を動かす作業、自転車、重ね着の調整に
1着で冬を通すならアウターダウン、秋から春まで幅広く使うならライトダウン、手持ちのコートの下に足すならインナーダウンです。寒い地域と暖かい地域で要る厚さが違うので、住む場所の1月の最低気温で決めます。最低気温が0℃前後なら厚手、5℃以上ならライトで足ります。
選ぶときに見る5つの表示
- ダウン率:ダウン80%以上。90%以上なら軽い
- フィルパワー:650以上。軽さを取るなら800以上
- 表地:ナイロンかポリエステル。撥水加工があると小雨で中が濡れにくい。薄い生地は軽いが引っかかりに弱い
- 縫い目:表から縫い目が見える「シングルキルト」は軽いが縫い目から冷える。縫い目が見えない「ボックス」は暖かいが重い
- 洗濯表示:家で洗えるか。洗えない物はクリーニング代が年3,000〜5,000円かかる
手入れ。洗って乾燥機で叩けば、10年ふくらむ
ダウンジャケットは、洗濯表示が家庭洗い可なら、ダウン用の中性洗剤で洗濯機の手洗いコースか、ぬるま湯で押し洗いし、乾燥機に乾いたテニスボールを2個入れて低温で乾かします。ボールがダウンの玉を叩いてほぐし、洗う前よりふくらみます。乾燥機が無いときは、陰干しで3日かけ、途中で何度も手で叩いてほぐします。洗うのはシーズンの終わりに1回で足り、汗と皮脂を残したまましまうとダウンが固まって次の冬にふくらみません。しまうときは圧縮せず、風の通る場所に吊るします。
よくある疑問。羽毛が抜ける、圧縮、寿命
| 疑問 | 答え |
|---|---|
| 縫い目から羽毛が出てくる | 少量なら普通。引き抜かず、裏から指でつまんで戻す。引き抜くと穴が広がる |
| 圧縮袋に入れて保管していいか | 長期の圧縮はダウンが折れてふくらみが戻らない。旅行の数日は可、シーズンオフは吊るす |
| 寿命は何年か | ダウンは10年以上もつ。先に傷むのは表地とファスナーで、そこが替え時 |
| 安いダウンと高いダウンの差 | ダウン率、フィルパワー、表地の薄さと縫い方の差。暖かさだけなら、安い物でも量が入っていれば足りる |
| ダウンの臭い | 濡れると獣の臭いが出る。洗って乾燥機で乾かせば消える。乾き残りが臭いの元 |
ダウンジャケットの困りごとの大半は、濡れたまま乾かし切れないことから起きます。臭い、ふくらみの戻らなさ、固まりは、乾燥機で低温で叩きながら乾かすことで直ります。羽毛が出るのと縫い目の劣化は別で、表地が薄い物ほど出やすく、着るときに引っかけないだけで減ります。
ダウンジャケットは、綿毛で空気をためる軽くて長持ちする防寒着
ダウンジャケットとは、水鳥の胸の綿毛を中綿に詰めた防寒着で、空気をためる力が繊維の中で一番高く、軽くて小さくたためます。暖かさはフィルパワーとダウンの量で決まり、濡れには弱く、洗って乾燥機で叩けば10年ふくらみます。1月の最低気温で厚さを決め、ダウン率80%以上、フィルパワー650以上、洗える物を選ぶ。この3つで、街の冬に足りる1着が選べます。
まず、持っているダウンの内側の表示で、ダウン率とフィルパワーと洗濯表示を見てください。洗える物なら、この冬の終わりに1回洗うだけで、来年のふくらみが戻ります。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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