焚き火台で薪を燃やすのは慣れたのに、炭で焼こうとすると火が着かない、着いても網まで火が届かない。よくあるつまずきで、原因は炭の量と高さが薪のときと違うことです。炭は薪と燃え方が別物なので、薪の感覚で扱うとうまくいきません。読み終えるころには、手持ちの焚き火台に炭を入れて20分で焼き始め、片付けまで迷わず進められます。
焚き火台の炭は薪と別物。着くまで20分、燃え始めたら2時間もつ
炭は薪より火が着くまでに時間がかかる代わりに、炎が上がらず煙も少なく、同じ火力が1〜2時間続きます。薪は着火が早くて炎の揺れを楽しめますが、火力が上下しやすく、料理には向きません。焚き火台で肉や野菜を焼くなら、燃料は炭に替えてください。
もう1つの違いは熱の出方です。薪は炎で焼くので表面が先に焦げますが、炭は赤外線で中まで熱が通るので、表面だけ黒くなりにくいです。焼き鳥屋やうなぎ屋が炭を使うのはこの理由からです。
| 項目 | 薪 | 炭 |
|---|---|---|
| 火が着くまで | 5分ほど | 15〜20分 |
| 炎と煙 | 炎が大きく、煙が多い | 炎はほぼ無く、煙が少ない |
| 火力の続き方 | 上下が激しい | 1〜2時間ほぼ一定 |
| 向く使い方 | 暖を取る、眺める | 焼く、煮る、炊く |
炭の種類は黒炭、オガ炭、白炭、成形炭の4つ。初めてなら黒炭
ホームセンターに並ぶ炭は、大きく4種類です。初めて焚き火台で炭を使うなら、火が着きやすく値段も手ごろな黒炭から始めてください。
- 黒炭。火が着きやすく、火力は中くらい。1〜2時間で燃え尽きる。国産のナラやクヌギの炭が多い
- オガ炭。おがくずを固めて焼いた炭で、火持ちが長く安定する。着火は黒炭より少し時間がかかる
- 白炭(備長炭など)。火が着くまで30分以上かかるが、一度着くと高い火力が3時間以上続く。硬いので爆ぜることがある
- 成形炭。着火剤を練り込んだもので、ライター1本で着く。短時間のバーベキュー向き
安いマングローブ炭は着火が早い代わりに火持ちが悪く、煙とにおいが出やすいです。1回きりの使い切りなら困りませんが、料理をゆっくり楽しむ日には黒炭かオガ炭にしてください。
炭の量は1人1kgで1時間が目安。2人で2時間なら3kg用意する
用意する炭の量は、大人1人あたり1kgで1時間が目安です。2人で2時間の夕食なら3kg、4人家族で2時間なら3〜4kgが目安になります。余った炭は次回に持ち越せるので、少し多めに買っておくと途中で火力が落ちても困りません。
ただし焚き火台では、この目安どおりにいかないことがあります。焚き火台は薪を燃やすために火床が深く作られているので、底に炭を敷くと網までの距離が遠すぎて、火が届かないからです。
火床が深い焚き火台は、炭床で炭を底上げしないと火が届かない
逆ピラミッド型の焚き火台は、底が狭くて深いのが普通です。底に黒炭を並べると、網まで15cm以上離れることがあり、肉がいつまでも焼けません。
この場合は、炭床(ロストル)を焚き火台の途中の高さに掛けて、炭を網の近くまで持ち上げます。メーカー純正の炭床が無ければ、100円ショップの20〜30cm角の焼き網を火床の途中に渡すだけでも代わりになります。炭床があると炭が平らに並ぶので、使う量も減ります。
浅いディスク型やメッシュ型の焚き火台は逆で、炭が網に近すぎて焦げやすいです。網の下に五徳やグリルブリッジを置いて、炭と網の距離を10cm前後に取ってください。
火起こしはチャコールスターターが確実。着火剤だけなら井桁に組む
炭の火起こしで一番失敗が少ないのは、筒型のチャコールスターターに炭を入れて、下から着火剤で火を当てる方法です。下から上へ空気が抜ける形なので、放っておくだけで10〜15分後には炭全体が赤くなります。
- 焚き火台の下に焚き火シートを敷き、周りに燃えやすい物が無いか見る
- チャコールスターターに炭を7〜8割まで入れる
- 焚き火台の火床に着火剤を置き、その上にスターターを立てる
- 着火剤に火を着けて10〜15分待つ。途中でかき混ぜない
- 上の炭まで赤くなったら、革手袋をしてスターターごと持ち上げ、炭床にあける
スターターが無いときは、火床の中央に着火剤を置き、小さめの炭を「井」の字に組んで空気の通り道を作ります。着火剤に火が着いたら、上に少しずつ炭を足していきます。最初から大きな炭を積むと、着火剤の火が炭に移る前に燃え尽きます。
火吹き棒は炭が赤くなってから。最初から吹くと灰と火の粉が舞う
火吹き棒で風を送るのは、着火剤の火が炭の角に移って赤い点が見えてからです。それより前に吹くと、着火剤の炎が消えるだけで終わります。
吹くときは炭の下からゆっくり、長く息を送ります。強く短く吹くと灰が舞い上がって、食材や隣のサイトに飛びます。風が強い日は火の粉が飛ぶので、着火そのものをやめる判断も要ります。
炭全体が白くなってから網を載せる。黒いうちは焼かない
炭の表面が白い灰で覆われて、中が赤く見える状態になったら焼き始めの合図です。着火から15〜20分が目安です。
黒い部分が残っているうちに食材を載せると、炭から出るガスと煙で食材がにおいます。白くなるのを待つ時間は、野菜を切ったり肉を常温に戻したりする時間に当ててください。
火力は炭の量ではなく「高さ」と「寄せ方」で調節する
火力を変えたいときは、炭を足すより先に、網までの高さと炭の寄せ方を変えます。炭を足すと火力が上がるまで10分以上かかり、下げたいときは減らせないからです。高さと寄せ方なら、その場で変えられます。
いちばん使いやすいのは、炭を片側に寄せて「強火の場所」と「弱火の場所」を作る並べ方です。炭を2段に重ねた側で肉を焼き、炭が1段か無い側に焼けた物を移して保温します。焦げそうになったら弱火側へ逃がすだけで済みます。
| やりたいこと | 炭の並べ方 | 網までの高さ |
|---|---|---|
| 肉の表面を強く焼く | 2段に重ねる | 10cm前後 |
| 野菜や魚をじっくり焼く | 1段に平らに並べる | 15cm前後 |
| 焼けた物を温めておく | 炭を置かない場所を作る | そのまま |
| ダッチオーブンで煮る | 下に7割、ふたの上に3割 | 鍋を直接載せる |
火力が落ちてきたと感じたら、まず炭の表面に積もった灰をトングで払ってください。灰が厚くなると空気が炭に触れなくなり、火力が下がります。払うだけで赤みが戻ることが多いです。
炭を足すのは表面が白くなってから。赤い炭の隣に少しずつ
炭を足すタイミングは、今ある炭の表面が白くなって火力が落ち始めたときです。新しい炭は赤く燃えている炭のすぐ隣に2〜3個ずつ置くと、火が移りやすいです。
一度にたくさん足すと、空気の通り道がふさがって火力がかえって落ちます。足してから火力が戻るまで10分ほどかかるので、料理の途中で切らさないように、白くなり始めたら早めに足してください。
消火は火消し壺が一番安全。焚き火台に水をかけると歪む
炭を消すときは、燃えている炭を火ばさみで火消し壺に移し、ふたを閉めて空気を断ちます。10〜20分で火が消え、そのまま冷ませば次回の着火に使えます。一度火が通った消し炭は、新品の炭より火が着きやすいです。
熱いままの焚き火台に水をかけるのはやめてください。急に冷えた金属が歪んで、脚が合わなくなったり火床が波打ったりします。水蒸気と灰が一気に上がって、やけどをすることもあります。
火消し壺が無いときは、火ばさみで炭を1個ずつ水を張ったバケツに沈めます。水に入れた炭は完全に冷めたのを確かめてから、キャンプ場の灰捨て場か持ち帰り用の袋に入れます。土に埋めるのは、下で燃え続けて火事の原因になるので禁止です。
灰は持ち帰りが基本。焚き火台は冷めてから水洗いして乾かす
灰の扱いはキャンプ場ごとに決まりが違います。灰捨て場がある場所でも、持ち帰りをお願いしているところが増えているので、受付で確かめてください。炭と灰を入れる耐熱の袋か缶を1つ持っていくと、どちらの場合でも困りません。
焚き火台は完全に冷めてから灰を落とし、こびりついた焦げは乾いたブラシでこすります。帰宅後に中性洗剤で洗って、乾いた布で水気を拭き、風通しのいい場所で乾かします。スチール製は薄く食用油を塗っておくと、さびが出にくいです。
焚き火台で炭を使う日の流れ。到着から片付けまでの順番
焚き火台で炭を使う日は、「食べ始めたい時刻の30分前に着火」を軸に逆算すると、待ち時間も片付けも慌てません。着火から焼き始めまでの20分は、食材の下ごしらえに使えます。
- 設営。テントから3m以上離し、焚き火シートの上に焚き火台を置く
- 炭床か焼き網で炭の高さを決め、水を張ったバケツを横に置く
- 食べ始めの30分前に着火。チャコールスターターなら放っておく
- 炭の表面が白くなったら炭床にあけ、強火側と弱火側に分ける
- 焼きながら、白くなった炭の隣に2〜3個ずつ足す
- 食べ終わったら炭を火消し壺へ。焚き火台は冷めるまで触らない
- 灰は持ち帰るか、キャンプ場の決まりに従って捨てる
風が強い日は、火の粉が飛んで隣のサイトやテントを焦がすことがあります。風防を立てても炎が横に流れるようなら、その日は炭火をあきらめてガスコンロに切り替えてください。無理に続けるより、次の機会に回したほうが楽しめます。
炭火の焼き方は、1回やってみると量と時間の感覚がつかめます。最初の1回は肉と野菜だけの簡単な献立にして、着火から片付けまでの流れを一度通して覚えるのが、いちばんの上達です。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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